学部のゼミ(演習)を希望する皆さんへ

 学部3年生のゼミ(前期:国際協力研究演習F、後期:卒業研究準備演習)では、関連する文献や論文を講読するほか、資料映像などを視聴して、国内外の教育課題や地球的課題との関連を検討していきます。また、ゼミ生には自分の関心のある研究テーマのほか、研究対象となる問題や事象について報告してもらいます。さらに、開発教育やESDなどの実践現場でのボランティアやインターンシップ、あるいはNGO/NPO等が主催する講座や研修会、イベントやスタディツアーなどへの参加を奨励しますので、主体的に現場に出向いて、グローバル教育や研修プログラムなどの実務や実践を体験し、その実際や実情を体感して下さい。

 そうしたプロセスを通じて、自分の研究テーマや論点を絞り、自分の「リサーチ・クエスチョン(Research Question)」を明確にして、卒業研究へと繋げていきます。「教育」や「学習」に対する多面的な視野や批判的な視点を養いながら、その「問い」の中から、次なる「問い」を見つけて下さい。

 なお、この演習(ゼミ)では研究テーマに「グローバル教育」を掲げていますが、毎年の卒業論文のテーマは、別頁の「卒業論文題目」にある通り、実にさまざまで、中には「グローバル教育」の立場や視点には捕らわれない卒業研究もあります。したがって、この演習のゼミ生は皆、広い意味では「教育(問題)」、あるいは「地球的課題(global issues)」を取り扱ってはいても、自分と同じ分野やテーマを研究する学生がこの演習(ゼミ)の中に誰もいないことも多々あるということは了解しておいて下さい。したがって、この演習(ゼミ)での卒業研究や卒論執筆を希望する場合には、自分とは研究テーマを異にする多様なゼミ生との議論や対話から、互いに刺激しあい、助言や示唆が得られるように努めてください。むしろ、そうした“ハイブリッドな学び合い”を期待する人の参加を歓迎します。(Jan. 5, 2021, rev. Apr. 27, 2021)

地球の言葉(20)

Well we’re waiting here in Allentown
For the Pennsylvania we never found

For the promises our teachers gave
If we worked hard
If we behaved
So the graduations hang on the wall
But they never really helped us at all
No they never taught us what was real
Iron and coke

And chromium steel
And we’re living here in Allentown

それでもこの街アレンタウンで待っている
まだ見ぬ我らのペンシルバニアと
教師たちと交わした約束を
真面目に働いて無茶をしなければ(きっと報われるという約束を
だから壁には卒業の証を飾っている
でもまったく何の役にも立たなかった
誰も本当のことを教えてくれなかったんだ
この街にあるのは鉄鉱石とコークス
そしてクロム鋼
それでもこの街アレンタウンで生きていく

                       (仮訳:湯本浩之)

ビリー・ジョエル(Billy Joel アーティスト〔アメリカ〕 1949-現在)
Original Resource: Billy Joel, ”Allentown”, The Nylon Curtain, Columbia Records, 1982.
出典:ビリー・ジョエル「アレンタウン」アルバム『ナイロン・カーテン』CBS/SONY Records、1984年。
Official Music Video: Billy Joel♪ ‘Allentown‘ YouTube.

<コメント>
 この曲の舞台となっているペンシルバニア州アレンタウン周辺は、アメリカでも有数の重工業の中心地であった。隣接するベスレヘムには当時USスティールに次ぐ業界第2位の製鉄会社があり、多くの周辺住民に雇用と不自由ない暮らしを生み出していた。その製鉄業も1970年代以降は国際競争に敗れ、街には失業者があふれ、コミュニティは衰退していった。2016年のアメリカ大統領選でD・トランプ氏が当選したのは、こうした「ラストベルト(赤さび地帯)」の白人貧困層やいわゆる“ブルーカラー・ワーカー(現場労働者)”からの熱烈な支持を受けたからだと分析されている。失業や貧困にあえぐ中で、与党からも野党からも、大企業からも労働組合からも見放され、政治や権威を見放してきた労働者や失業者たち。かれらの絶望の淵に残る前向きな決意やかすかな希望をビリー・ジョエルは今から40年も前に歌にしている。
 こうした深刻な社会問題を扱いながら、この曲がBillboard Hot 100では週間17位、年間43位(1983)という大ヒットを記録したのは、かれがアーティストとしての本領を存分に発揮したとともに、それを受け入れることのできる多くの良き聴き手に恵まれていたからだろう。
 大学の授業であれば何時間も解説しなければならないような内容をわずか4分弱で伝えてしまうとは、音楽の力を改めてまざまざと見せつけられた佳曲である。
 なお、その後のアレンタウンでは製鉄業が復活することはなかった。しかし、製鉄業からの脱却や市街地の再開発が図られることとなり、現在ではサービス業を中心に、グローバル企業が本社を置くなど、活気を取り戻しつつあるという。