それでは本題である「基準」の話に入っていきましょう。まず、「論文」の「内容」に関してですが、この基準を数値で定量的に説明することはとても難しいことです。そこで、「論文」を審査する際の主な観点を例示して、「内容」の基準を説明してみましょう。
①論理性:論旨が首尾一貫しており、自ら設定した問いや仮説に対して妥当な結論が導かれていること。
②客観性:論述に際して、客観的な根拠やデータが提示されていること。
③批判性:研究対象とした事象や問題を批判的に分析し、読者に新たな課題や視点を提起していること。
これら3つの観点には、卒業論文であっても十分に留意する必要があるでしょう。さらに「論文」として高い評価を得るには、また、修士論文であればなおさら、次のような観点に配慮できるとよいでしょう。
④有用性:「論文」で取りあげた事象や問題に関連する今後の研究や実践にとって有用な知見や情報が提供されていること。
⑤独創性:学術研究としての独創的な知見や研究手法などを提示していること。
最後の2つの観点は、卒論の評価の基準というよりも、修論や博論での基準と考えてください。