引用や出典表記をはじめ、参考文献一覧や注釈の書き方などには、分野や学会などにほぼ共通するルールもあれば、分野や学会によって指定されているルールもあります。このページでは、本研究室での基本的なルールを紹介しますが、実際に論文を提出する場合は、必ず所属する学部や研究科などが指定する「執筆要領」に従ってください。
2-6-1)「引用」について
①「直接引用」と「間接引用」
論文で文献を引用または参照する場合、その用い方にはいくつかの方法があります。大別すると、直接引用と間接引用があります。いずれの場合も、他者の文献や資料、データや調査結果などを用いることになりますので、必ず出典を示す必要があります。
繰り返しになりますが、出典を表記せずに他者の文章や考え方を自分のもののように書くことは、盗用や剽窃にあたります。また、原文の意味を都合よく変えたり、データや調査結果を改竄したりすることも、研究倫理に反する重大な問題です。
② 「直接引用」のしかた
直接引用とは、文献の文章を一字一句そのまま引用する方法です。原文の表現そのものが重要な場合や、著者の言葉を正確に示したい場合に用います。
直接引用をする場合は、次のように、引用した部分を一重のカギ括弧で囲み、その出典として、著者名(または組織名)、出版年、頁番号を丸括弧のなかに表記します。
〔例〕著者A(2020: 45)は、「地域学習において重要なのは、学習者が地域の課題を自分自身の問題として捉えることである」と述べている。
または、次のように文末に出典を示すこともできます。
〔例〕「地域学習において重要なのは、学習者が地域の課題を自分自身の問題として捉えることである」(著者A、2020: 45)。
このような直接引用では、原文を勝手に変えてはいけません。一部を省略する場合は「……」などを用い、必要に応じて、省略したことが分かるようにします。
〔例〕「地域学習において重要なのは、……学習者が地域の課題を自分自身の問題として捉えることである」(著者A、2020: 45)。
③「段落引用」について
直接引用する文が短い場合は、本文中にカギ括弧で囲んで示します。たとえば、1文程度の引用であれば、本文中に組み込んで示すのが一般的です。
一方、引用文が長くなる場合には、本文とは別の段落として示します。これを段落引用といいます。段落引用にするかどうかは、引用文の長さや読みやすさによって判断します。目安として、引用文が3行以上になる場合や、100字程度を超える場合には、段落引用にするとよいでしょう。
また、段落引用では、引用部分を本文から区別できるように、引用部分の上下を1行アケとし、引用部分の各行の行頭を2文字程度、字サゲします。もちろん、段落引用の場合でも、出典を必ず表記する必要があります。
〔例〕これに対して、著者Aは地域学習の意義について次のような見解を述べている。
(※1行アケ)
地域学習において重要なのは、学習者が地域の課題を自分自身の問題として捉えることである。地域の課題を、行政や専門家だけが解決すべき問題として見るのではなく、自分たちの生活や地域社会のあり方と結びつけて考えることによって、学習はより主体的なものとなる。(著者A、2020: 56) (※1行アケ)
このように、直接引用は、著者の主張や表現を正確に示すことができるという利点があり、段落引用は長い引用に適しています。しかし、多用すると、自分の文章より引用文のほうが目立ってしまうため、必要な箇所に限って用い、引用後には必ず自分の説明や考察を加えるようにします。
④図表を引用する場合
論文で引用するものは、文章だけではありません。表やグラフ、地図や写真、イラストやフローチャートなどを用いる場合もあります。これらも、他者が作成した資料や著作物であるため、文章を引用する場合と同じように、出典を明示する必要があります。
これらの図表を用いる場合には、それが自分で作成したものなのか、他者の資料をそのまま転載したものなのか、他者の資料をもとに自分で作成したものなのかを区別して示します。
たとえば、他者の図表をそのまま用いる際は、「図」の場合はその図の下に、「表」の場合はその表の上に、それぞれ次のように出典を表記します。
〔例〕図1:地域学習プログラムの参加者数
出典:著者B(2022: 18)より転載。
〔例〕表1:地域学習プログラムの参加者数の推移
出典:著者B(2022: 18)より転載。
他者の図表をそのまま転載せず、一部を修正したり、加工したりして掲載する場合は、次のように出典欄に「一部改変」と明記することが望ましいです。
〔例〕図2:地域学習プログラムの実施過程
出典:著者B(2022: 28)を一部改変。
他者の表や統計データなどを参考に、自分で表を新たに再構成した場合は、次のように「筆者作成」と明記します。
〔例〕表1:地域学習プログラムの参加者数の推移
出典:著者B(2022: 18)を参考に筆者作成。
また、複数の文献や図表を参考に自分で再構成した場合は、次のようにそれらの出典を明記します。
〔例〕図3:地域学習の主な実施形態
出典:著者B(2022: 33)、著者C(2024: 58-60)を参考に筆者作成。
このように、「転載」「一部改変」「筆者作成」などを区別して示すことが大切です。とくに、他者の図表を加工した場合には、単に「出典:著者B(2022: 18)」と書くだけでなく、「一部改変」「一部修正」「もとに筆者作成」などと明記し、原資料との関係が分かるようにします。
ただし、図表は文章以上に著作権上の注意が必要な場合があります。論文の中で必要な範囲で引用する場合であっても、本文中でその図表を用いる必然性があり、引用部分と自分の説明・考察との関係が明確でなければなりません。単に見栄えをよくするために写真やイラストを入れることは、学術的な引用とはいえません。
また、ウェブサイト上の画像や図版は、自由に使えるとは限りません。インターネット上に公開されているからといって、無断で転載してよいわけではありません。使用条件、著作権表示、利用許諾の有無などを確認し、必要に応じて使用を避ける、または別の資料に差し替えることも考えます。
図表を用いる際にも、文章の場合と同じく、「何を用いたのか」「どこから用いたのか」「どのように用いたのか」を明確に示すことが必要です。出典を示さずに他者の図表を自分のもののように掲載することは、盗用・剽窃にあたります。また、数値や図版の意味が変わるように加工することは、改竄にあたる場合があります。
したがって、図表を引用する場合には、出典を正確に示すとともに、原資料の意味を変えないように注意し、自分の論文の論旨にとって本当に必要なものだけを用いるようにします。
〔参考〕「図表」とは?:「図」と「表」の違い
「図」とは、情報や関係を視覚的に示したものです。グラフやチャート、模式図や流れ図、地図や写真、イラストやスクリーンショットなどがこれにあたります。いわゆる「画像」も「図」に含まれます。これらは数値の変化、構造、位置関係、流れ、相互関係などを、見て理解しやすくするために用います。
「表」とは、文字と数字と罫線で作成されたもので、数値、項目、分類、比較内容などを、行と列に整理して示したものを指します。
これらをまとめて「図表」といいます。
⑤ 「間接引用」のしかた
間接引用とは、文献に書かれている内容や著者の考え方を、自分の言葉で言い換えて紹介する方法です。原文をそのまま写すのではなく、内容を理解したうえで、自分の論述の流れに合わせて説明します。
たとえば、原文が次のような文章だったとします。「地域学習において重要なのは、学習者が地域の課題を自分自身の問題として捉えることである」。
これを間接引用すると、次のように書くことができます。
〔例〕著者A(2020: 45-46)は、地域学習では、学習者が地域の課題を自分自身に関わる問題として捉えることが重要であると指摘している。
または、文末に出典を表記して、次のように書くこともできます。
〔例〕地域学習では、学習者が地域の課題を自分自身に関わる問題として捉えることが重要であるとされている(著者A、2020: 45-46)。
間接引用では、原文をそのまま書き写しているわけではないため、カギ括弧は付けません。しかし、他者の考え方を用いていることに変わりはないので、出典を表記する必要があります。
また、言葉を少し置き換えただけで、原文の構成や表現をほとんどそのまま使うことは、適切な間接引用とはいえません。間接引用をする場合は、内容を理解したうえで、自分の文章として自然に説明することが大切です。
⑥「要約引用」のしかた
要約引用とは、文献の一部を短くまとめて紹介する方法です。広い意味では間接引用の一種と考えることができます。間接引用が、特定の考え方や一文の内容を言い換えて紹介する場合を含むのに対して、要約引用は、複数の段落や章、論文全体の内容を簡潔にまとめる場合に用います。
たとえば、ある文献で、地域学習の目的、方法、効果について数ページにわたって論じられているとします。その内容を要約して紹介する場合は、どの範囲を要約したのかが分かるように、頁番号を表示する必要があります。
〔例〕著者A(2020: 45-48)は、地域学習の意義について、地域の課題を教材として扱うだけでなく、学習者が地域社会の一員として課題解決に関わる姿勢を育てる点にあると整理している。
または、次のように書くこともできます。
〔例〕地域学習は、地域の課題を知るための学習にとどまらず、学習者が地域社会に主体的に関わる力を育てる学習として位置づけられている(著者A、2020: 45-48)。
要約引用では、著者の主張を簡潔に示すことができますが、要約の仕方によっては、原文の意味を狭めたり、別の意味に変えてしまったりする危険があります。自分の主張に都合のよい部分だけを切り取るのではなく、原文の趣旨を正確に捉えることが重要です。
⑦どの引用方法を使うべきか
論文では、直接引用ばかりを並べるのではなく、必要に応じて、直接引用、間接引用、要約引用を使い分けます。たとえば、
・著者の表現そのものが重要な場合は、直接引用を用います。
・文献の考え方を自分の論述の中に組み込む場合は、間接引用を用います。
・文献全体の主張や複数の箇所にわたる内容を簡潔に紹介する場合は、要約引用を用います。
いずれの場合も大切なことは、どこまでが自分の考えで、どこからが他者の考えなのかを読み手に分かるように書くことです。引用や要約は、単に文献を並べるための作業ではありません。自分の問いや主張を支えるために、先行研究や資料を適切に位置づける作業です。
そのため、引用した文献については、後述するとおり、本文中で出典を表記するだけでなく、論文末尾の参考文献一覧にも正確な文献情報を記載してください。
2-6-2)「出典表記」について
論文で文献を引用・参照する場合、本文中でその出典をどのように表記するかについては、いくつかの方式があります。代表的なものとして、次の3つがありますが、ここでは便宜的に「括弧方式」「注記方式」そして「番号方式」とよぶことにします。
① 「括弧方式」
本文中に、著者名(個人の場合は「姓」のみ)、出版年、必要に応じて頁番号を丸括弧のなかに表記する方式です。米国のハーバード大学の研究者が、この方式の起源とされていることから、一般的には「ハーバード方式」とよばれています。なお、本研究室では、この「括弧方式(ハーバード方式)」を採用しており、以下の説明はこれに基づいています。
〔例〕地域学習では、学習者が地域の課題を自分自身の問題として捉えることが重要である(著者A、2020: 45)。
そして、論文の末尾には「参考文献(一覧)」をおき、本文中で引用または参照した文献の詳しい情報を記載します。
「括弧方式」における丸括弧内の表記には、次のようにいくつかのパターンがあります。まず、著者名と出版年をどう区切るかです。
i)(著者A、2025)・・・ 全角の読点「、」で区切る。
ii)(著者A、 2025)・・・ 半角の読点「、」で区切る。
iii)(著者A,2025)・・・ 全角のカンマ「,」で区切る。
iv)(著者A, 2025)・・・・ 半角のカンマ「,」で区切る。
v)(著者A 2025)・・・ 全角の一字アケとする。
vi)(著者A 2025)・・・・ 半角の一字アケとする。
さらに、頁付けをする場合、出版年と頁付けを半角のコロン「:」でつなげるか、全角のコロン「:」でつなげるのか、そして、その直後を半角アケとするのか、しないのかという細かなパターンがあります。
a)・・・ 2025:18)・・・・・・ 半角コロン+半角アケなし+数字
b)・・・ 2025: 18)・・・・・ 半角コロン+半角アケ+数字
c)・・・ 2025:18)・・・・・ 全角コロン+半角アケなし+数字
d)・・・ 2025: 18)・・・・ 全角コロン+半角アケ+数字
e)・・・ 2025: p. 18)・・・ 半角コロン+半角アケ+p.+数字
f)・・・ 2025:18頁)・・・ 全角コロン+半角アケなし+数字+頁
g)・・・ 2025:18ページ)・・・ 全角コロン+半角アケなし+数字+ページ
出典をどのように表記すればよいかの大前提は、論文のなかでは出典の表記のしかたを統一するということです。そのうえで、細かな数字の表記となるので、読みやすいこと、また、文字数が制限されている論文などでは、文字数をできるだけ節約するために、簡潔な表記が好ましいこと、さらに、日本語の論文の場合、半角と全角の文字や記号をできるだけ混在させないことなどを考慮するとよいでしょう。また、カンマ「,」やコロン「:」はそもそも外国語の句読法であることなどにも留意する必要があります。
このように考えて、本ガイドラインでは、上記の「i)+c)」、すなわち、「(著者A、2025: 18)」を出典表記の基本形として採用することにします。
ただし、外国語の原著を出典とする場合は、丸括弧内に原著者名を表記することになるため、(Freire, 1970: 60)や(Bourn, 2025: 18)のように、全角読点ではなく,半角カンマで区切ることになります。
以上、半角にするのかしないのか、半角アケるのかアケないのかなど、論文のテーマや内容とはまったく関係のない、とても些細で形式的なことのようですが、こうした細部の表記が統一されていると、見た目も読みやすく、論文としての正確性や信頼性が高まる効果が生まれます。
② 「注記方式」
引用箇所や参照箇所に通し番号を付け、その番号に対応する脚注や後注で出典を表記する方式です。思想・哲学・文学・歴史・芸術などの人文科学分野で採用されることが多い方式です。シカゴ大学出版局の編集規則に由来することから、一般的には「シカゴ方式」とよばれています。
〔例〕地域学習では、学習者が地域の課題を自分自身の問題として捉えることが重要である¹。
そして脚注や後注では、次のように出典を表記します。
〔例〕¹ 著者A『地域学習の理論と実践』○○出版、2020年、45頁。
この方式では、本文の流れを妨げずに、脚注や後注で詳しい出典情報を示すことができます。
③ 「番号方式」
引用箇所や参照箇所に番号を付け、論文末尾の参考文献一覧に、その番号順で文献情報を示す方式で、医学や自然科学の分野で採用されています。医学系の雑誌編集者がカナダのバンクーバーで開催された会議で、投稿原稿のルールを定めたことに由来しているとされ、一般的には「バンクーバー方式」とよばれています。
〔例〕地域学習では、学習者が地域の課題を自分自身の問題として捉えることが重要である(1)。
論文末尾の参考文献一覧では、次のように番号順に文献情報を並べます。
(1)著者A『地域学習の理論と実践』○○出版、2020年、45頁。
この方式では、脚注や後注での表記を割愛することができます。
2-6-3)「参考文献(一覧)」について
論文では、本文の中で引用したり、内容を参照したりした文献や資料を、論文の末尾に「参考文献」や「参考文献一覧」、あるいは「引用文献」や「引用文献一覧」として掲載します。名称には多少の違いがありますが、重要なのは、本文中で用いた文献や資料の出典を、読者があとから確認できるように整理して示すことです。
注意したいことは、参考文献一覧は「自分が読んだ本を何でも並べる場所」ではないということです。基本的には、本文中で引用したり、参照したりした文献や資料などを載せます。逆に、本文中で使っている文献が一覧に載っていない、あるいは、一覧に載っているのに本文中に出典の表記がない場合は、出典表記として不十分です。本文中の出典表記と、最後の参考文献一覧とを必ず照合するようにしましょう。
なお、以下の説明では、出典表記を「括弧方式」としていることを了解してください。
①参考文献の書き方
たとえば、本文中で次のように書いたとします。
田中(2008: 197)は「開発教育は、地球的課題の理解と『参加』をめざす教育学習活動であった」と述べている。
このように本文中で、2008年に出版された田中の文献から引用した場合には、論文の末尾におく参考文献一覧にも、その文献を必ず記載します。たとえば、次のように書きます。
田中治彦(2008)『国際協力と開発教育:「援助」の近未来を探る』明石書店。
このように、参考文献一覧には、著者名、出版年、書名、出版社(発行者)名などの順に記載します。読者はこの文献情報を確認することで、「この論文で引用されている田中(2008)とは、どの本のことか」を確認することができます。出典表記と参考文献一覧は、本文中では簡潔に「田中(2008: 197)」と示し、末尾ではその文献を特定できるように詳しく書く、という関係になっています。
②一覧での参考文献の並べ方
参考文献一覧は、思いついた順や、本文に出てきた順に並べるのではなく、一定のルールにしたがって整理します。日本語文献は、著者名の五十音順に並べます。外国語文献は、著者名の「姓(ラストネーム)」のアルファベット順に並べます。また、日本語文献と外国語文献は分けて記載すると分かりやすくなります。たとえば、次のように整理します。
〔例〕【日本語文献】
SDGsと開発教育研究会(2021)『SDGs学習のつくりかた:開発教育実践ハンドブックⅡ』開発教育協会。
重田康博(2017)『激動するグローバル市民社会:「慈善」から「公正」への発展と展開』明石書店。
田中治彦(2024)『新SDGs論:現状・歴史そして未来をとらえる』人言洞。
〔例〕【外国語文献】
Bourn, D. (2015) The Theory and Practice of Development Education: A pedagogy for global social justice. London and New York: Routledge.
McCloskey, S. (ed.) (2014) Development Education in Policy and Practice. Basingstoke and New York: Palgrave Macmillan.
③同じ著者の文献が複数ある場合
出版年の古いものから新しいものへと並べます。また、同じ著者が同じ年に出した文献を複数使う場合は、本文中の表記と対応させて、2018a、2018bのように区別します。
〔例〕開発教育協会(2018)……
開発教育協会(2020)……
開発教育協会(2022a)……
開発教育協会(2022b)……
この場合、本文中の出典表記でも「(開発教育協会、2018a)」「(開発教育協会、2018b)」のように書き分けます。
なお、同じ著者の文献を複数記載する場合、2冊目以降の著者名を「〃」で省略する場合もみられますが、論文では各文献ごとに著者名を明記することを原則とします。これは、本文中の出典表記と参考文献一覧との対応関係を分かりやすくし、それぞれの文献情報を独立して確認できるようにするためです。
④文献の種類ごとの書き方
参考文献一覧では、単行本、学会誌などに収録された論文、翻訳書、新聞記事、ウェブサイト上の資料、そして外国語文献など、文献の種類によって書き方が多少異なります。
a)単行本(単著や単編著)
単著や単編著の単行本の場合は、次のように文献情報を書きます。
編/著者名(発行年)『書名』出版社(発行者)名。
なお、書名は二重のカギ括弧『』で囲みます。出版社名も忘れずに記載します。この文献情報もひとつの文と考えて、末尾には句点「。」を打ちます。
〔例〕
SDGsと開発教育研究会(2021)『SDGs学習のつくりかた:開発教育実践ハンドブックⅡ』開発教育協会。
重田康博(2017)『激動するグローバル市民社会:「慈善」から「公正」への発展と展開』明石書店。
田中治彦(2024)『新SDGs論:現状・歴史そして未来をとらえる』人言洞。
b)単行本(共著または共編著)
著者や編著者が複数名いる共著や共編著の単行本の場合は、全員の名前を書くのが原則ですが、人数が多い場合は省略して書くことが一般的です。たとえば、編著者が3名までの場合は、次のように全員を記載します。
〔例〕
田中治彦・三宅隆史・湯本浩之編著(2016)『SDGsと開発教育:持続可能な開発目標のための学び』学文社
山西優二・上條直美・近藤牧子編(2008)『地域から描くこれからの開発教育』新評論。
湯本浩之・西岡尚也・黛京子編著(2024)『SDGs時代の地理教育:「地理総合」への開発教育からの提案』学文社。
著者や編著者が4名以上いる場合は、筆頭者の氏名を書き、その後に「ほか」と付ける書き方があります。
〔例〕
岩本泰ほか編著(2021)『SDGs時代の学びづくり:地域から世界とつながる開発教育』明石書店。(※本書の編著者はほかに小野行雄・風巻浩・山西優二)
ただし、共(編)著者をどこまで書くかは、大学や研究科、学会や投稿先のルールによって異なる場合があります。
c)学会誌などに掲載された雑誌論文
学会誌や研究紀要や専門誌などに掲載された雑誌論文の場合は、次のように書きます。
著者名(発行年)「論文名」『誌名』巻号、出版社(発行者)名、頁付け。
〔例〕
三宅隆史(2020)「NGOのスタディツアーによる自己変容:前期青年期を対象にしたスタディツアー事例の定性分析から」『開発教育』67号、開発教育協会、76-87頁。
論文名は一重のカギ括弧「」で囲み、掲載誌名は二重のカギ括弧『』で囲みます。また、その論文が収録されている最初の頁と最後の頁をハイフンで「-」でつないで記載します。この部分を「頁付け」といいます。頁付けを書くことで、読者はその論文が掲載誌のどこに収録されているのかを容易に確認できます。
なお、掲載誌が出版社から出版されている場合や、学会やNPOなどが自主出版している場合は、その社名や団体名を記載します。その際「株式会社」や「特定非営利活動法人」などの法人格を記載する必要はありません。また、掲載誌がその分野では著名なもので誰でも認識できたり、誌名に「〇〇大学」のように発行者名が含まれたりしているのであれば、出版社(発行者)名は省略しても構いません。
〔参考〕「雑誌論文」とは?
「雑誌論文」とは、学会誌や研究紀要、専門誌や機関誌など、定期的に発行される刊行物に掲載された論文のことです。ここでいう「雑誌」は一般向けの娯楽雑誌に限らず、研究者や専門家が論文を発表するこうした学術雑誌を含みます。J-STAGEなどでオンライン公開されている論文であっても、学会誌や専門誌に掲載された正式な論文であれば、参考文献一覧では原則として「雑誌論文」として扱います。
d)編著書に収録された分担執筆論文
編著者のいる専門書や学術書の単行本では、複数の著者が一つの章を分担して執筆した論文や解説文などが収録されています。こうした分担執筆論文を引用した場合は、次のように書きます。
著者名(発行年)「論文名」編著者名『書名』出版社(発行者)名、頁付け。
〔例〕
中村絵乃(2019)「ファシリテーターとしての教師・指導者」田中治彦・奈須正裕・藤原孝章編著『SDGsカリキュラムの創造:ESDから広がる持続可能な未来』学文社、61-79頁。
なお、編著書の中のひとつの章を引用または参照した場合でも、参考文献一覧では通常「第◯章」は省略します。章番号は、文献の構成上の位置を示す情報であって、文献を特定するために必須の書誌情報ではなく、どの章を引用または参照したかは、章や論文の題名と頁付けによって確認できるためです。
e)翻訳書
翻訳書を参考文献一覧に記載する場合は、原則として、次のように書きます。
原著者名(出版年)『翻訳書名』監訳者名、訳者名、出版社名。
〔例〕
セン,アマルティア(2000)『自由と経済開発』石塚雅彦訳、日本経済新聞社。
フレイレ,パウロ(2011)『被抑圧者の教育学』三砂ちづる訳、亜紀書房。
ボーン,ダグラス(2025)『開発教育の理論と実践:グローバル社会正義のための教育学』湯本浩之・奈良崎文乃訳、せせらぎ出版。
訳者が1名の場合は「〇〇訳」、複数の場合は「〇〇・〇〇訳」、監訳者が示されている場合は「〇〇監訳」とします。
原著者名が欧米系の人名である場合は、参考文献一覧では姓を先に出し、名を後に置く形にします。これを「姓名をインバート(invert)する」といいます。たとえば、Paulo Freire は「パウロ・フレイレ」ではなく、「フレイレ,パウロ」と表記します。これは、参考文献一覧を著者の姓にもとづいて並べ、本文中の「フレイレ(2011)」という出典表記と対応させやすくするためです。なお、「姓」と「名」は中黒「・」ではなく、全角のカンマ「,」で区切ります。
翻訳書であるにもかかわらず、出典表記や参考文献一覧で著者名を「Freire」と原語表記してしまうと、それが原著を引用または参照した意味になりますので、注意して下さい。
また、翻訳書の場合は、原則として、自分が実際に参照した翻訳書の出版年を記載します。ただし、原著の出版年を示す必要がある場合には、(原著発行年=翻訳書発行年)のように、半角の等号「=」を使って表記することもあります。
〔例〕
フィッシャー,サイモン・ヒックス,デイヴィッド(1985=1991)『ワールド・スタディーズ:学びかた・教えかたハンドブック』国際理解教育・資料情報センター編訳、めこん。
フレイレ,パウロ(1970=2011)『被抑圧者の教育学』三砂ちづる訳、亜紀書房。
その場合、本文中の出典表記も次のように対応させます。
〔例〕
銀行型教育に関して、フレイレは「『知識』とはもっている者からもっていない者へと与えられるものである」と述べている(フレイレ、1972=2011:132)。
f)新聞記事(紙面版)
新聞記事を引用または参照した場合も、本文中に出典を示し、必要に応じて参考文献一覧に記載します。新聞記事は、書籍や論文と異なり、掲載日、新聞名、朝刊・夕刊の別、掲載面、記事の見出しなどが重要な文献情報になります。これらを示すことで、読者がその記事を確認しやすくなります。
新聞記事には、記者名が明記されている署名記事と、記者名が示されていない無署名記事があります。署名記事の場合は、記者名を著者名として扱います。無署名記事の場合は、新聞社名または新聞名を著者名に準じて扱うとよいでしょう。
たとえば、本文中では次のように書きます。
著者D(2023)は、外国につながる子どもへの日本語支援の課題について指摘している。
記者名が分からない場合は、次のように書くことができます。
外国につながる子どもへの日本語支援の不足が指摘されている(〇△新聞、2023)。
新聞記事を参考文献一覧に記載する場合の基本形は、次のようになります。
著者名/新聞名(掲載年)「記事見出し」『新聞名』掲載年月日朝刊/夕刊、掲載面。
〔例〕
◯△新聞(2023)「外国につながる子どもへの日本語支援に課題」『◯△新聞』2023年5月10日朝刊、15面。
新聞社名と新聞名が同じ場合はやや重複して見えますが、出典を明確にするためには問題ありません。気になる場合は、本文中の出典表記では「(朝日新聞、2023)」とし、参考文献一覧では記事情報を詳しく示します。
なお、オンライン版の新聞記事の取扱いについては、項目を参照してください。
g)オンラインで入手した雑誌論文の取り扱い
最近では、学会誌や専門誌の多くがオンライン化され、研究者や学生がJ-STAGE、CiNii、各学会のウェブサイトなどから論文をダウンロードして読むことが一般的になっています。そのため、「ウェブ上で読んだ論文だから、ウェブサイト資料として扱うのか」と迷うことがあります。
しかし、重要なのは、その論文をどこで読んだかではなく、その資料が正式な学術論文として出版・公開されたものかどうかです。学会誌や専門誌に掲載された論文であれば、オンラインで入手した場合でも、原則として「雑誌論文」として扱います。参考文献一覧には、著者名、出版年、論文名、掲載誌名、巻号、頁付けなどの文献情報を記載します。
その際、論文に「DOI」が付いている場合があります。
DOIがある場合は、参考文献一覧の末尾にDOIを記載します。この場合、通常は「最終閲覧日」を書く必要はありません。DOIがなく、オンライン上でしか入手できない論文の場合には、必要に応じてURLと最終閲覧日を補記します。
文献情報の例としては、次のようになります。
湯本浩之(2022)「DEARの設立40周年に想う:この10年とこれからの10年」『開発教育』69号、2-8頁、DOI:10.60453/dear.69.0_2
また、DOIをURL形式で示す場合は、次のように書くこともできます。
湯本浩之(2022)「DEARの設立40周年に想う:この10年とこれからの10年」『開発教育』69号、2-8頁、DOI:https://doi.org/10.60453/dear.69.0_2
DOIがある場合はDOIを記載し、DOIがない場合やオンライン上でしか入手できない場合には、必要に応じてURLおよび最終閲覧日を補記します。
〔参考〕「DOI」とは何か?
DOI(ディー・オー・アイ、通称「ドイ」)とは、Digital Object Identifierの略で、日本語では「デジタルオブジェクト識別子」などと呼ばれます。簡単に言えば、論文などの電子的な学術資料に付けられる固有の識別番号です。ウェブページのURLは変更されることがありますが、DOIは論文を長期的に特定するための番号として用いられます。DOIは、多くの場合、10.で始まる番号として表示されています。
DOIは、論文の著者が自分で自由に付ける番号ではありません。学会、出版社、大学図書館、機関リポジトリなど、論文や資料を公開・管理する機関が、DOI登録機関を通じて登録するものです。J-STAGEに掲載されている論文の場合、多くは掲載誌を発行する学会等がJ-STAGEを通じてDOIを登録しています。したがって、参考文献一覧を書く学生は、新たにDOIを申請する必要はありません。論文の掲載ページやPDFなどにDOIが表示されていれば、そのDOIを参考文献情報に記載します。
h)インターネット上の記事や資料
インターネット上の記事や資料を引用または参照した場合も、書籍や論文と同じように、本文中に出典を示し、論文の末尾の参考文献一覧に文献情報を記載します。
ネット上の情報は、紙媒体の資料と異なり、あとから内容が変更されたり、ページが削除されたり、URLが変わったりすることがあります。そのため、参考文献一覧では、誰が作成・公表した情報なのか、いつ公表または更新されたものなのか、どのページや資料を見たのか、いつ閲覧したのかを明記します。
基本的な書き方は、次の通りです。
著者名(公表年/更新年)「記事・資料の題名」ウェブサイト名、URL(○年○月○日最終閲覧)。
たとえば、開発教育協会のウェブページを引用または参照した場合は、参考文献一覧は次のように書きます。
〔例〕
開発教育協会(n.d.)「開発教育とは」開発教育協会ウェブサイト、https://www.dear.or.jp/org/2056/(2026年5月26日最終閲覧)。
公表年や更新年が分からない場合は、「n.d.」と表記します。これは “no date” の略で、「発行年・公表年不明」という意味です。ネット上の記事だけでなく、発行年の分からない書籍や資料などでも「n.d.」と表記します。
また、本文中では、次のように示します。
開発教育協会(n.d.)では、開発教育を共に生きることのできる公正な地球社会づくりに参加するための教育としてと説明している。
または、
開発教育は、共に生きることのできる公正な地球社会づくりに参加するための教育として説明されている(開発教育協会、n.d.)。
このように、本文中では簡略に「著者名または団体名」と「年」を示し、参考文献一覧ではURLや最終閲覧日を含めて詳しい情報を示します。
i)新聞記事(オンライン版)
新聞社や放送局が運営するニュースサイトに掲載された記事を引用または参照する場合は、オンライン記事として扱います。この場合は、紙の新聞記事とは異なり、URLと最終閲覧日を記載します。基本形は、次の通りです。
著者名/新聞名(掲載年)「記事見出し」『新聞名/媒体名』掲載年月日、URL(○年○月○日最終閲覧)。
記者名が明記されている署名記事の場合は、記者名を著者名として扱うことができます。
〔例〕
著者D(2023)「外国につながる子どもへの日本語支援に課題」『◯△新聞デジタル』2023年5月10日、URL(2023年5月26日最終閲覧)。
記者名が分からない場合は、新聞名や新聞社名を著者名に準じて扱います。
◯△新聞(2023)「外国につながる子どもへの日本語支援に課題」『◯△新聞デジタル』2023年5月10日、URL(2023年5月26日最終閲覧)。
なお、新聞社のニュースサイトには、紙面に掲載された記事と同じ内容の記事が掲載されている場合もあれば、オンライン版だけに掲載された記事、あるいは紙面版とは見出しや本文が一部異なる記事が掲載されている場合もあります。そのため、参考文献には、実際に自分が参照した版を示すことが大切です。
たとえば、新聞社のウェブサイト上で記事本文を閲覧し、そのURLにもとづいて引用または参照した場合は、紙面に同じ記事が掲載されていたとしても、原則としてオンライン記事として扱います。この場合は、媒体名を「△□新聞デジタル」「○△新聞オンライン」などとし、URLと最終閲覧日を記載します。
一方、紙面ビューアーや新聞データベースなどを使って、朝刊・夕刊の紙面に掲載された記事を閲覧した場合は、原則として「新聞記事(紙面版)」として扱います(上記「f)」参照)。この場合は、次のように、URLや最終閲覧日ではなく、掲載年月日、朝刊・夕刊の別、掲載面を示します。
△□新聞(2023)「外国につながる子どもへの日本語支援に課題」『△□新聞』2023年5月10日朝刊、13面。
つまり、新聞社のウェブサイトに掲載されたオンライン記事を引用した場合はURLと最終閲覧日を書く。これに対して、紙面ビューアーや新聞データベースで紙面掲載記事をオンライン上で閲覧した場合は、紙面版の記事として書く、というように区別します。
また、オンライン記事は、掲載後に見出しや本文が修正・更新される場合があります。そのため、オンライン記事を出典として用いる場合には、最終閲覧日を記載して、いつの時点で確認した記事であるかが分かるようにします。
j)PDF資料の場合
論文を執筆する際、インターネットで検索してさまざまなPDF資料を参考文献として扱うことが少なくありません。たとえば、官庁が発行する政府刊行物(白書・審議会答申・法令集・統計資料など)をはじめ、国際機関や各種団体が公表している資料(年次報告書・調査報告書・会報・小冊子・パンフレットなど)があります。
これらのPDF資料を引用または参照する場合は、PDFというファイル形式だけで判断するのではなく、その資料がどのような性格の資料であるかを確認します。白書、報告書、定期刊行物などとして各組織や出版社から正式に刊行され、そのPDF版がウェブ上に公開されている場合は、原則として出版物(単行本など)として扱います。一方、会議資料、配布資料、ウェブ掲載用の報告書など、出版社などから刊行され市販されているものではなく、ウェブ上でのみ入手できる資料については、オンライン資料として扱い、URLと最終閲覧日を記載します。
したがって、PDF資料は一律に「オンライン資料」として扱うのではなく、出版物のPDF版である場合は出版物として、ウェブ上でのみ公開されている資料である場合はオンライン資料として区別して表記します。出版物として表記する場合は、前項の「a)単行本」などを、オンライン資料として表記する場合は、「h)インターネット上の記事や資料」を参照して下さい。
k)外国語文献
外国語で書かれた文献を参考文献一覧に記載する場合、原則として、著者名や編者名、書名や誌名、論文名や章題、出版地名や出版社名などを原語のまま表記します。英語文献であれば英語表記のまま、スペイン語やドイツ語、フランス語やポルトガル語などの文献であれば、それぞれの原語表記を基本とします。韓国語文献であればハングル表記を、中国語文献であれば漢字表記を基本とします。必要に応じて、書名や論文名の日本語訳を角括弧[ ]などで補ってもかまいませんが、その場合も原語表記を省略しないようにします。
また、次のように、日本語文献の表記と大きく異なる点が、いくつかあるので留意してください。
i)著者名
欧米系の著者名や編者名は、一般に「姓」と「名のイニシャル」を半角カンマで区切って表記します。編者の場合は、その直後に「(ed.)」または複数編者であれば「(eds.)」を付けます。
欧米系の姓名を本文中で書く場合、たとえば「パウロ・フレイレ(Paulo Freire)」のように、「ファーストネーム(名)」+「中黒(・)」+「ラストネーム(姓)」の順で表記されます。
しかし、本文中の出典表記では姓(Freire)のみを表記し、参考文献一覧では、著者名を姓のアルファベット順に並べるため、姓名の順序を入れ替え、「Freire, P.」のように、姓を先に置き、名はイニシャルで表記します。このように、ファーストネームとラストネームの順序を入れ替えることを、「インバート(invert)する」といいます。
なお、翻訳書の場合も原著者の姓名をインバートします。詳細は「e)翻訳書」を参照して下さい。
ii)出版地名
外国語文献、とくに英語文献では、従来から、出版社名の前に出版地名を記載する方式が広く用いられてきました。これは、文献を特定しやすくするために、出版地・出版社・出版年を組み合わせて示す書誌情報の慣行にもとづくものです。
近年では出版地名を省略するスタイルも増えていますが、本ガイドラインでは、外国語の単行本については「出版地名+半角コロン+半角アケ+出版社名」の形で統一して表記します。なお、この出版地とは、出版社の所在地を意味しています。
また、同じ都市名が複数の国や地域にある場合や、米国の地方都市のように州名がないと分かりにくい場合に、出版地名の後に州名・州略称・国名などを加えることがあります。
〔例〕
London: UCL Institute of Education.
Paris: UNESCO.
Cambridge, MA: Harvard University Press.
※これは、英国の Cambridge と区別するために、米国マサチューセッツ州の Cambridge であることを示しています。一方、英国の Cambridge は、通常は Cambridge と表記しますが、必要に応じて Cambridge, UK とすることもできます。
iii)文献名
外国語の文献名を表記する際に、留意すべき点は大きく2つあります。ひとつは、イタリック体やローマン体といった字形(font style)の違いです。
もう一つは、書名や論文名などを表記する際に、大文字と小文字の区別(letter case)にもとづいて、どの語の頭文字を大文字にするかを定める大文字表記法(capitalization style)です。
たとえば、英語では、書名や誌名はイタリック体で表記します。そして、書名や誌名では、名詞や動詞、形容詞や副詞などの主要語の頭文字を大文字にします。このような表記を、主要語の頭文字を大文字にする表記(title case)とよびます。
一方、論文名や章題はイタリック体にはせず、通常の字形であるローマン体で表記します。そして、論文名や章題では、通常の英文と同じように、最初の語、副題の最初の語、固有名詞、略語などに限って頭文字を大文字にし、その他の語は小文字で表記します。このような表記を、文頭などに限って大文字にする表記(sentence case)とよびます。
以上を本ガイドラインにおける原則としますが、外国語の文献情報の基本形を、次のとおり例示します。
〔単行本の場合〕
著者名(出版年)書名. 出版地: 出版社名.
〔例〕
Bourn, D. (2015) The Theory and Practice of Development Education: A Pedagogy for Global Social Justice. London and New York: Routledge.
McCloskey, S. (ed.) (2014) Development Education in Policy and Practice. Basingstoke and New York: Palgrave Macmillan.
〔雑誌論文の場合〕
著者名(出版年)“論文名,” 雑誌名, 巻号, 頁付け.
〔例〕
Andreotti, V. (2006) “Soft versus critical global citizenship education,” Policy and Practice: A Development Education Review, No. 3, pp. 40-51.
外国語文献に日本語訳がある場合でも、自分が実際に参照した文献を参考文献一覧に記載します。原著を読んだ場合は原著を、日本語訳を読んだ場合は日本語訳を記載します。原著と日本語訳の両方を参照した場合は、両方を記載してかまいません。
また、外国語文献の情報を日本語の本文中で紹介する場合には、必要に応じて書名や論文名の意味を日本語で説明してもかまいません。ただし、参考文献一覧では、原則として文献情報を原語表記のまま示します。これは、読者がその文献を正確に確認できるようにするためです。
なお、とくに外国語文献の表記については、論文名や章題を引用符 “ ” で囲むことがあります。これは、論文名や章題が、編著書や学会誌などの中に収録された「部分のタイトル」であることを示すためです。このように投稿先によって執筆要領がさまざまなので、独自の執筆要領がある場合は、その執筆要領を優先します。
l)ネット上の記事や資料を使うときの注意点
ネット上の記事や資料を参考文献一覧に記載するときは、URLだけを示して終わりにしないようにします。URLだけでは、それが誰による、いつの、何という資料なのかが分かりません。必ず、著者名または団体名、出版年、記事名/資料名、サイト名、URL、最終閲覧日を確認します。
また、ネット上でキーワード検索などを行うと、オンライン百科事典、まとめサイト、匿名または筆者不明のウェブページやブログ、SNSの投稿などが表示される場合があります。これらの検索結果は、資料や情報の作成者やその根拠、更新状況、継続的な閲覧可能性が不明確な場合が多いため、論文の出典や参考文献としては原則として使用しません。
インターネット上の情報を用いる場合は、官公庁、自治体、国際機関、大学・研究機関、学会、新聞社、出版社、公益法人やNPO・NGOなど、発信主体が明確で、内容に責任をもって公表されている資料を用いるようにします。
ただし、SNSの投稿や個人ブログなどを、社会的な言説や当事者の発信を分析するための研究対象そのものとして扱う場合は、この限りではありません。その場合も、指導教員に確認したうえで、引用・記録・匿名化・プライバシーへの配慮などに十分注意する必要があります。
さらに、ネット上の記事や資料は更新されることがあります。そのため、引用した時点での情報を示すために、最終閲覧日を必ず記載します。最終閲覧日は、実際にそのページや資料を確認した日付を書きます。
⑤参考文献一覧を作成するときの注意点
参考文献一覧を作成するときは、次の点に注意してください。
第一に、本文中に出てくる文献が、参考文献一覧にすべて載っているかを確認します。本文中で「湯本(2008)」と書いているのに、参考文献一覧に「湯本浩之(2008)」の文献がない場合、読者はその文献を確認できません。
第二に、参考文献一覧に載せた文献が、本文中で本当に使われているかを確認します。読んだけれど本文中では使わなかった文献まで大量に並べると、どの文献が論文の根拠になっているのかが分かりにくくなります。
第三に、表記を統一します。たとえば、ある文献では「頁」と書き、別の文献では「p.」や「ページ」と書くなど、表記がばらばらにならないようにします。「p.」や「pp.」は英語のpage(s)の略なので、英語文献で用いるのが原則ですが、近年では、国際的な執筆要領に準拠する学会や学問分野では「ページ」や「p.」の使用が規定されている場合もあります。いずれにせよ、本ガイドラインでは、カタカナ表記の「ページ」も許容範囲ですが、漢字一文字は文字としての収まりがよく、文字数を節約する意味でも「頁」を使うことをお薦めします。また、書名は『』、論文名に「」とすることや、発行年を丸括弧で囲むなど、表記を全体で統一します。
第四に、ウェブサイトから論文や資料を引用する場合は、URLだけを貼り付けて終わりにしないようにします。誰が作成した情報なのか、いつ公表・更新された情報なのか、ページや資料の題名は何か、いつ閲覧したのかをできるだけ明記します。
参考文献一覧は、単なる形式的な付録ではありません。自分の論文が、どのような先行研究や資料にもとづいて書かれているのかを示す、重要な部分です。本文中の引用や出典表記と参考文献一覧を正確に対応させることで、論文の正確性や信頼性を高めることができます。
コラム:「頁」はなぜ「ページ」と読むのか
本や論文で「10頁」「45頁」と書いてあれば、わたしたちはこれを「10ページ」「45ページ」と読んでいます。しかし、よく考えてみると不思議です。
「ページ」は、英語の page に由来する外来語です。一方、「頁(字音はケツ)」という漢字は、もともと「人の頭(こうべ/かしら)」を意味しています。部首名は「おおがい」で、「頭」「顔」「額」「頬」などの漢字を構成しています。つまり、「頁」という漢字そのものは、もともと本の「ページ」を意味するものではなく、漢字本来の読みとして「ページ」という読みがあったわけでもありません。
それでは、なぜこの漢字が「ページ」を表すようになったのでしょうか。一般には、「葉」との関係で説明されます。「葉」は植物の葉という意味だけでなく、薄い紙や書物の一枚を数える語として使われてきました。現在でも、必要書類などで「顔写真一葉」と書いてあるのを見かけますが、これは「顔写真一枚」という意味です。
「頁」は、もともとは「頭」を意味する漢字でした。しかし、『日本国語大辞典』や『大辞泉』などでは、「頁」と、紙や書物の一枚を数える「葉」とが、中国語で同音または音が通じることから、「頁」が「葉」と同じように、書物の紙面を表す字として使われるようになったと説明されています。『日本国語大辞典(精選版)』では、英語 page に由来する「ページ」の用例として、明治26(1893)年に発表された北村透谷の評論「国民と思想」が挙げられています。このことから、少なくとも明治期には、「ページ」という言葉が日本語の中で用いられていたことが分かります。
ただし、「頁」は「珈琲(コーヒー)」や「檸檬(レモン)」のように音を写した当て字ではありません。また、「麦酒(ビール)」や「酒精(アルコール)」のように、漢字の意味から外来語を訳した表記でもありません。「頁」は、英語の page に対応する慣用的な漢字表記として用いられてきた字だと考えるとよいのではないでしょうか。
『広辞苑(第7版)』では「ページ」の項目に「page・頁」と記載されています。しかし、「頁」は常用漢字の2136字には含まれていません。そのため、公用文や学校の教科書などでは用いられにくく、学生が論文やレポートを書く場合には、「頁」よりも「ページ」と書く方が分かりやすいという考え方もあります。
それでも、人文科学や一部の社会科学の書籍や論文などでは、現在でも「頁」が使われています。とくに出典表記や参考文献では、「45頁」や「123–125頁」のように表記されています。ただし、学会や投稿先によっては、頁付けの規定が異なる場合があるので、それに従うとともに、論文やレポートを書く場合には、所属先の学部や研究科の執筆要領を参照したり、指導教員と相談して、表記を統一することが大切です。
2-6-4)「注」について
論文を書いていると、本文中に入れると説明が長くなりすぎて、文章の流れを妨げてしまうものの、補足的に説明しておきたい内容が出てくることがあります。そのようなときに用いるのが「注」です。なお、注は、本文の内容を補うためのものであり、本文で述べるべき重要な説明を、注に回すものではありません。
論文で用いる注は、脚注や後注が一般的です。雑誌論文のように、文字数が比較的少ない論文では、後注を用いても読みにくさはあまり感じられません。しかし、卒業論文や修士論文のように、頁数のある論文で巻末に後注をおくと、読み手は各頁と巻末の間を頻繁に往復しなければならず、物理的な読みにくさが生じます。頁数の多い論文では、各頁に脚注をおくか、各章の末尾に後注をおくと、読者にとって読みやすい論文となるでしょう。
いずれにせよ、注には掲載する位置によって、脚注や後注のほかにもいくつかの種類があります。
①注の種類
a)脚注
脚注とは、本文中の該当箇所に注番号を付け、その頁の下部に補足説明を書く注です。注が本文と同じ頁にあるので、読者が容易に確認できるため、比較的読みやすい方法です。
b)後注(尾注・文末脚注)
後注(こうちゅう)とは、本文中の該当箇所に注番号を付け、章末や論文末に注をまとめて掲載する注です。注が多かったり、長かったりする場合、脚注を用いると頁のかなりの部分を使ってしまうことになるので、それを避けるために後注が用いられます。ただし、読者は本文と後注の掲載箇所を行き来する必要があるため、脚注と比較すると、やや読みにくさが残ります。
c)頭注(冠注)
頭注とは、本文中の該当箇所に注番号を付け、その頁の上部に補足説明を書く注です。古い文学書や専門書などでは用いられましたが、近年ではあまり見かけなくなりました。
d)側注
側注とは、本文中の該当箇所に注番号を付け、その頁の左側や右側に補足説明を書く注です。比較的大きな判型(A5判やB5判など)の単行本や報告書などで用いられる注です
e)割注(本文注)
割注(わりちゅう)とは、本文中の説明したい文や語の直後に割り込んで、小さな文字を2行で補足説明を直接書き込む注です。本文中に組み込まれるため、読者は目線を動かす必要がないので、読みやすい注ではあるのですが、多用してしまうと、煩雑な印象を与えてしまいます。以前の古い書籍では、よく使われていましたが、近年では、一般書をはじめ、専門書や論文などでも見かけなくなりました。
なお、本文中で「開発教育協会(Development Education Association and Resource Center, DEAR)」のように、組織の正式名称や略称、原語、簡単な補足説明を示す場合や、「著者A(2020)」や「(著者A、2020: 15)」のように挿入する出典表記も、割注の一種として理解することができます。
②注の内容
注には、主に次のような内容を記します。
第一に、本文中の用語や人名、制度、出来事などについて、簡単な補足説明を加える場合です。たとえば、本文で初めて使う専門用語について、その意味や背景を補足する場合があります。
第二に、本文では詳しく述べないものの、関連する情報を示しておきたい場合です。たとえば、本文の主張に直接必要ではないが、読者の理解を助ける関連事項や、別の見解があることを注で示す場合があります。
第三に、外国語の原語や訳語について補足する場合です。たとえば、本文では日本語訳を用い、注で原語を示したり、訳語の選択について簡単に説明したりすることがあります。
③注番号の付け方
脚注や後注などのように、本文中の該当箇所に注番号を付ける場合、その注番号を「上付き」で、文字や文末の右肩に表記します。上付きの数字は、Wordの「脚注の挿入」で簡単に入力できます。なお、Wordでは注番号のフォントや種類を選ぶことができますが、「番号書式」で半角数字「1, 2, 3,…」を選ぶと注番号が小さくて判別が難しい場合があるので、全角数字「1,2,3,…」を選ぶとよいでしょう。
いずれにせよ、ここで留意する必要があることは、その注番号を文のどの位置に表示するのかということです。すなわち、注番号を付ける場合は、本文中のどの範囲に注がかかるのかが分かるようにします。とくに、注番号を文末に付ける場合は、句点「。」の内側に付けるか、外側に付けるかによって、注が及ぶ範囲の受け取られ方が変わります。
たとえば、注番号を文中の語句の後に付ける場合は、直前の語句に対する注として読まれます。
〔例〕
開発教育では、学習者が地球的課題¹を自分自身の問題として捉え、社会のあり方を問い直していくことを重視している。
¹ ここでいう「地球的課題」とは、ひとつの国だけでは解決できないような、地球社会全体が直面している飢餓や貧困、環境破壊や人種差別、地域紛争や民族対立などの諸問題を解決していくことを意味している。
これに対して、注番号を句点の左側、つまり文末の内側に付ける場合は、その文に関する出典や補足説明として読まれることが一般的です。
〔例〕
開発教育では、学習者が地球的課題を自分自身の問題として捉え、社会のあり方を問い直していくことを重視している¹。
¹ この点については、開発教育協会(2020)を参照。
さらに、段落の末尾などで、注番号を句点の右側、つまり段落末の外側に付ける場合は、その文を含む段落全体に関する出典や補足説明として読まれることが一般的です。
〔例〕
開発教育では、学習者が地球的課題を自分自身の問題として捉え、社会のあり方を問い直していくことを重視している。現行の学習指導要領においても、……することや……することなどが、重視されるようになっている。しかし、開発教育の学校現場における実践上の問題点として、……や……ということが指摘されている。¹
¹ これらの点については、開発教育協会が発行している機関誌『開発教育』の◯号(2021)や○号(2024)で特集が組まれている。
注番号の付け方は、論文全体を通して通し番号にする方法と、章ごとに番号を付け直す方法があります。どちらの方法を用いる場合でも、論文全体で表記方法を統一することが大切です。
なお、注は多ければよいというものではありません。注が多すぎると、読者は本文と注との間を何度も行き来しなければならず、論文全体が読みづらくなります。本文で説明すべき重要な内容は本文中に書き、注には補足的な説明だけを記すようにします。
また、注と参考文献一覧は役割が異なります。注は本文の補足説明を行うためのものであり、参考文献一覧は論文で引用・参照した文献情報をまとめて示すためのものです。文献から引用した場合には、括弧方式では本文中に出典を丸括弧で表記するだけにとどめて、論文末尾の参考文献一覧にその文献情報を記載します。
なお、出典表記が「注釈方式」の場合は、脚注や後注に出典を表記することになります。