【地球のことば(31)】小田実「私が見たのは無意味な死だった」

ウクライナ情勢を伝えるニュース映像を連日見ている中で、作家・小田実(おだ・まこと)の「難死」という言葉を思い出しました。小田は深夜の討論番組にも登場した論客で、ベトナム反戦・平和運動を展開した市民運動家でもありました。「難死」とは「悲惨で無意味で一方的な死」を意味していますが、小田は子ども時代を過ごした大阪が大空襲に見舞われた際、そこで「私が見たのは無意味な死だった」と述懐しています。プーチン政権によるウクライナ侵攻によって、多くの命が奪われている今、この「難死」の意味を再考する価値があるのではないでしょうか。